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まだモノなんか捨ててるの?

ミニマリストを煽る唯一のミニマリスト、しゃどみとは私のことです。

まだジェネリック医薬品なんか使ってるの?

ライフハック

最近の薬局、ジェネリック押しがすごいですね。

「まだ割高な先発薬使ってるの??」

って毎回煽られてます。

 

ジェネリック医薬品、安物なのに、本当に大手メーカーの先発薬と効果は変わらないんでしょうか?

 

なんでジェネリック医薬品が安いのか?

ジェネリック医薬品が安い理由、一般的に言われているのは

「期限切れ特許の真似をして作っているから、研究開発費がほとんどかかっていない。」

ということです。

 

先発メーカーは、多くの人件費や臨床試験費を費やしている分、

「その薬を作るための原価+研究開発費を回収するための費用+利益」

という方式で価格を決定しています。

後発のジェネリックメーカーは、

その薬を作るための原価+特許を真似するための試験費用+利益」

で価格が決定できます。

0から何かを生み出す研究開発に比べたら、真似するだけの方が圧倒的に楽で安価ですよね。

 

特許を読むだけで、本当に再現できるの?

特許が切れたから、あとは真似するだけ。

簡単に言いますけど、本当にそんなあっさり真似できるんですか?

そもそもみなさん、特許って読んだことありますか?

製造業社畜として日々研究開発に励む私が、特許を読んでそれを再現する難しさを説明していきましょう。

 

特許ってどんな感じ?

特許庁のここ↓に行けば、誰でも簡単に公開されている特許を検索、表示できます。

特許情報プラットフォーム|J-PlatPat

 

アステラス製薬様が出願されている、ついこの前公開された特許を例に、特許を読んで再現することの難しさを確認していきましょう。

以下、特開2015-120758 経口投与用医薬組成

https://www7.j-platpat.inpit.go.jp/tkk/tokujitsu/tkkt/TKKT_GM301_Detailed.action

からの引用

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミノドロン酸もしくは製薬学的に許容されるその塩又はその水和物を含有し、溶出試験開始後15分後の薬物溶出率が80%以上である、高用量経口投与用医薬組成物。
【請求項2】
ミノドロン酸もしくは製薬学的に許容されるその塩又はその水和物の平均粒子径が1μm以上20μm以下である、請求項1に記載の高用量経口投与用医薬組成物。
【請求項3】
ミノドロン酸もしくは製薬学的に許容されるその塩又はその水和物を医薬組成物中に0.1重量%以上50重量%以下含有する、請求項1または2に記載の高用量経口投与用医薬組成物。

引用終了

これは請求項と呼ばれる、保護を受けたい発明の範囲を示す文章です。

一番大事なところです。

数値の範囲、かなり広いですね。

「平均粒子径が1μm以上20μm以下」って、粒の大きさが最大で20倍変わるんですが・・・。

 

折角の発明、なるべく広い範囲を抑えておきたいですよね?

平均粒子径が10μmの粉末が、体に入ったとき最も効果的な溶け方をする、

だから特許の範囲は「平均粒子径が9μm以上11μm以下」だ!

みたいな出願をすれば、ライバル企業から

「あ、うちのは13μmなんで、御社の特許の範囲外ですよ^^」

みたいにあっさりパクられます。

 

こうしたパクリを防ぐため、請求項はやたらと広いです。

ぶっちゃけ、「そこまで外すと効果発現しないよね?」

という範囲まで抑えている企業もいます。

つまり、請求項から最適値を見出すのは非常に困難です。

 

実施例からならいける?

特許には、実施例と呼ばれる

「似たような業者の人が読めば、この発明を再現できる方法」

を書かなければいけません。

ここが嘘だったりすると、罰金が発生したり、特許無効の裁判で負けやすくなったりしますので、

露骨な嘘、ねつ造は少ないです。

(分野によっては、嘘・誇張だらけとかがあるかもしれませんが・・・)

ここを読めば流石に誰でも真似できるんじゃないでしょうか?

 

以下、特開2015-120758 経口投与用医薬組成

https://www7.j-platpat.inpit.go.jp/tkk/tokujitsu/tkkt/TKKT_GM301_Detailed.action

からの引用

《実施例1》
7重量%のヒドロキシプロピルセルロース溶液を調製し、結合剤液とした。次にミノドロン酸水和物粉砕品(平均粒子径D50:15μm、以下記載無い場合同じ)50部、D-マンニトール158部、及びクロスカルメロースナトリウム9部に、ヒドロキシプロピルセルロースが13.5部となるまで結合剤液を噴霧することにより、流動層造粒機で造粒した。結合剤液を噴霧後、造粒品を乾燥し、本発明の医薬品組成物(造粒品)を得た。前記医薬組成物(造粒品)230.5部、結晶セルロース(PH-101、平均粒子径50μm、旭化成ケミカルズ)45部、クロスカルメロースナトリウム20部とステアリン酸マグネシウム4.5部を容器回転式混合機を用いて混合後、ロータリー打錠機で圧縮成型することにより、本発明の医薬組成物(錠剤)を得た(錠剤質量300mg)。

引用終了

 

医薬品は専門外なのでこれでどこまで再現できるかわかりませんが、

あやふやな記述が多いことだけはわかります。

「○○が○部になるまで結合剤液を噴霧すること」

って簡単に言いますけど、噴霧(霧状に噴くこと)で調合するのって難しそうじゃないですか?

「造粒品を乾燥し」

って何度で何時間乾燥させるんですか?

100℃くらいで数日間かけて乾かした場合と、300℃くらいの熱で数時間で乾かした場合とで、乾燥粉末の特性全然違ってきますよね?

「ロータリー打錠機で圧縮成型する」

ってどこのメーカーのどの装置を使って、どのくらい圧力をかけて成型するんですか?

高圧でカチカチに固めた粒と、砂場遊びのお団子程度の圧力しかかかっていない粒とでは、体内での溶け具合が全然違いますよね?

 

もしかしたら、ここにはあえて書いていない、非常に重要な工程があるのかもしれません。

例えば、最後に成型した後、実は150℃くらいで乾燥させる工程があって、そこが体内活性に大きく影響を与えているのかもしれません。

 

実施例は

「肝心なことは書かれているが、細かいデータは書かれてないし、全てを記載しているとは限らない」

んです。

 

薬なら市場に流通しているし、それを解析すればいいのでは?

一番手っ取り早いパクリ方法、それは現行品を入手して解析を行うことです。

そうすれば各成分、不純物、粒の密度・固さなどの物理的データが簡単に得られます。

これと特許の請求項・実施例を組み合わせれば真似できるのでは?

 

そう安易に思われる方もいるかもしれませんが、これだけ情報があっても再現することは非常に困難なのです。

 

例えば、

「Aが69.1%、Bが29.7%、不純物としてCが0.1%、Dが0.1%含まれている」

という情報が得られたとしましょう。

 

これを再現するために、

「Cを不純物として含む原料A」と「Dを不純物として含む原料B」

を特許で書かれている通りの条件で調合すれば、ぴったり現行品と同じ成分の薬ができます。

ですが、

「Dを不純物として含む原料A」と「Cを不純物として含む原料B」

を混ぜても成分上は同じものができますよね?

もっと言えば、

「高純度のAとBを使って、最後に不純物としてCとDを追加する」

ことでも、同じ成分の薬ができます。

 

果たして、これらは同じ性能を持つのでしょうか?

結論としては、「持たないこともある」です。

 

成分が全く同じでも、化学的な結合状態が変われば全く別の作用を引き起こします。

主成分の結合状態はその辺の分析機器でも簡単に確認できますが、微量成分である不純物の結合状態は、高度な設備を使わないと確認できません。

 

某毒カレー事件の捜査で使われた、Spring-8のような特殊な施設を使って解析する必要がありますが、

ジェネリック医薬品メーカーはそこまでやっているのでしょうか?

http://www.spring8.or.jp/ja/about_us/whats_sp8/faq/

 

有名シェフの料理をレシピから再現できますか?

もっともわかりやすい例ですね。

有名シェフがレシピを公開したとして、それを再現できますか?

食材の適切な調達・保存・前処理方法、各調理工程での細かなテクニック・ノウハウ、

そうした積み重ねがない人がいくらレシピを見ても、完全なトレースは出来ません。

 

特許とは、不親切なレシピです。

それが公開されたからと言って、その辺の業者が真似して安価に作れる、と思うのはちょっと安直なのではないでしょうか?

 

ジェネリック医薬品って、臨床試験やってないの??

ジェネリック医薬品臨床試験をやっていない、もしくは先発薬よりも少ない項目でしか試験していない、だから信用できない。

的なことをたまに聞きます。

ちょっと厚労省のサイトで調べてみましょうか。

 

以下、

ジェネリック医薬品への疑問に答えます~ジェネリック医薬品 Q&A~

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/dl/jene-qa.pdf

から引用。

質問2
ジェネリック医薬品の承認審査の際に求められる試験項目は、先発医
薬品(新薬)の場合と比べて非常に少ない。だから、ジェネリック医薬品は、
先発医薬品と比べて有効性や安全性の面で劣るのではないか。

回答
ジェネリック医薬品の審査の際に省略される試験項目は、先発
医薬品において既に確認済の内容であり、試験項目が先発医薬品
と比べて少なくても、先発医薬品と同等の有効性や安全性を有す
ると判断することができます。これは、米国や欧州の各国でも同様
であり、最新の科学的知見に基づく世界標準の考え方です。

引用終了 

 

ざっくりまとめると、

ジェネリックで省略されているのは、主成分が本当に効くのかという根本的な試験項目だけ。

 主成分の有効性については先発薬がとっくに証明している。

 だからジェネリックの試験項目は、「製剤化された医薬品に関する試験」だけで十分。」

 製品化された薬が、体内でどう作用するかについては試験されてるみたいですね。

 

 

以下、

ジェネリック医薬品への疑問に答えます~ジェネリック医薬品 Q&A~

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/dl/jene-qa.pdf

から引用。

質問4
注射剤については、承認審査の際に臨床試験(生物学的同等性試験)
のデータを求めていないにもかかわらず、なぜ、同等と言えるのか。

 

回答

通常、医薬品の効果や副作用は、有効成分の血中濃度に従って
発現しますので、経口剤などでは吸収された後の血中濃度が先発
医薬品と同様の挙動を示しているかどうかを確認するため生物学
的同等性試験を行う必要があります。
 しかしながら、有効成分が完全に溶解した注射剤で、血管内に
投与するものについては、血中濃度の推移を変化させる要因がそ
もそも存在しないため、生物学的同等性試験を行う必要はありま
せん。

 引用終了

 

なるほど、経口投与じゃなくて、血管に直接投与する注射液は血中濃度

をわざわざ臨床試験しなくていいわけですね。

納得です。

 

この辺の話が捻じ曲がって伝わって、ジェネリック医薬品はまともに臨床試験してない!という話になってしまったのではないでしょうか?

そんなことないみたいですよ。

 

まだ高い先発薬使ってるの?

これだけ不安を煽っておいてなんですが、私個人としてはジェネリック医薬品はガンガン使ってもいいと思ってます。

実際に、私はジェネリック派です。

薬局では毎回ジェネリックでお願いしてます。

 

確かに、ちょっとした不純物や物性の差でとんでもないことになることはあります。

実際に仕事上で、そうした失敗をやらかしたこともあります。

 

ですがそうしたことはほとんど起こりませんし、起こったとしても社内試験で発見されて世の中には出回らないことの方が多いです。

 

万が一が死亡事故に繋がりかねない医薬品のことですから、神経質になるのはわかりますが、

過剰反応してしまうのもいかがなものかな~と思ってしまいます。

 

不安な方は、「オーソライズジェネリック医薬品」を!

オーソライズド(authorized: 権限を与えられた)ジェネリック医薬品をご存知ですか?

以下、

https://pcareer.m3.com/plus/article/authorizedgenerics-biosimilar/

より引用。

オーソライズジェネリックとは
先発医薬品と全く同じ成分(原薬や添加物、製造方法まで全て)のジェネリック医薬品
【特徴】
・先発医薬品の特許が切れる半年前から、独占販売が認められている。
・新薬メーカーがジェネリックメーカーに特許を与えて開発しており、他のジェネリック医薬品に先駆けて発売が可能。
ジェネリック医薬品の開発に必要な試験を省略できる。

 

ライセンス契約を結び、ノウハウを含むほぼ全てを教えてもらって製造しているジェネリック医薬品です。

先発薬のメーカーが子会社に行わせていることが多いようです。

まだまだマイナーなこの方式ですが、今後増えていくのではないでしょうか?

 

ジェネリック医薬品ほどは安くないかもしれませんが、安心度はこちらの方が優れていますね。

 

 

 

最後に、例の言葉で締めくくります。

何事も、自己責任で。

 

「危険有害性の評価は現時点で入手できる資料、データに基づいて作成しておりますが、記載のデータや評価に関しては、いかなる保証をなすものではありません。

すべての化学製品には、未知の危険有害性がありえるため、取り扱いには細心の注意が必要です。」

 

 

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